無駄のない空間に、シャープな感性。確かにバッチリきまったスタイルの家はカッコいい。
だけど、住まいを家族の器として考えるならどうだろう。隙のなさ過ぎる家は、子どもが描いた絵すら飾りにくいなんて話も聞く。せっかくの作品が、リビングでなく子ども部屋にある。それってすごく残念な気がする。
ならば、八重製材所はあえてラフなスタイルを提案します。カッコいいもの、キュートなもの、何でも許容してくれる懐の深さ。鑑賞するのではなく、“住むを楽しむ”ための家。でも、意外と難しい。造り込みが甘いと、それはラフでなく、雑。
子どもたちの創造力に負けない、ワン・オフ(一度限りの製造)の見せどころです。
ラフスタイルの一つの象徴といってもいい倉庫のような外観。
既成概念に縛られない自由さと、何でも受け止めてくれる包容力がこの家の本質であり、この姿に表現されている。
合板がむき出しになった天井、下地材に塗料を塗っただけの壁、露出した電気配線、地金の鈍い光りを放つ金属。
一見すると超個性的な意匠だけど、間取りは至ってノーマル。むしろ動線や収納などの使い勝手や、暮らし心地の高さが施主には高評価だ。
老舗工務店が生み出す伝統と革新のラフスタイルは、そんな見た目と中身のギャップも魅力の一つかもしれない。